高2の秋、進研模試の英語偏差値は39だった。そこから2カ月、音読を軸に勉強して62になった。この記事では、その2カ月でやったことの全部と、そのあと音読をやめて約1年停滞した失敗までを、実体験の数字だけで書く。
先に断っておくと、僕は音読を信じて始めたわけではない。「こんなことに本当に意味があるのか」と疑っていた。ただ、人生でまともに勉強したことがなく、三単現のsも怪しかった偏差値39の僕には、疑っている余裕がなかった。
英語偏差値39の僕がやっていた「ズレた勉強」
当時の僕は、分厚い4択の文法問題集を解けば英語ができるようになると思っていた。でも、文法問題を解く力と、英文を読む力は、重なっているようで別物だった。4択の正解数がいくら増えても、長文を前から読み進める力はつかなかった。
勉強しているのに英語が伸びないときは、努力量を増やす前に、やっていることと伸ばしたい力がズレていないかを疑ったほうがいい。僕の場合、足りていなかったのは文法の知識ではなく、英文を前から順に処理する力だった。
2カ月でやったこと——参考書4冊と、1日1〜3時間の音読
使った参考書は4冊だけだ。
- 単語:学校配布の単語帳(2000語ほど)。この1冊を浪人が終わるまで使い続けた
- 文法:学校配布の文法書。1周で完璧にせず、何周もして固めていく
- 解釈(1文を正確に読む練習):『英文解釈の技術100』。初見はほぼ全滅で、最初は解答を見ながら読んだ
- 長文と音読:『英語長文ハイパートレーニング 超基礎編』
軸にしたのは、ハイパートレーニングの音読だ。本に書かれている音読のやり方とYouTubeの解説を参考に、1日1〜3時間、毎日読んだ。特別な工夫はない。同じ長文を、口が勝手に動くようになるまで繰り返しただけだ。
ただし、音読「だけ」で伸びたわけではない。単語・文法・解釈・音読の4つが噛み合って、はじめて数字が動いた。どれか1つに賭けるのではなく、セットで回すのが前提になる。
なぜ音読で「読める」ようになるのか
読めない長文には共通点がある。目は文字を追い、口も動いているのに、内容が頭に残っていない——僕の言う「空読み」の状態だ。確かめ方は簡単で、読み終わった直後に、その長文の内容を一言で言えるかどうか。音読を始めたばかりのころの僕は、音源の真似をするだけで精いっぱいで、意味に頭を回す余裕がなかった。
なぜそうなるか。文字を音に変える。単語の意味を引き出す。文の組み立てを追う。慣れないうちは、この一つひとつに頭を使う。それだけで容量を使い切って、肝心の意味を受け取る余白が残らないのだ。
音読の役割は、この処理を体に覚えさせて、頭を「意味」のために空けることにある。何度も声に出した英文は、考えなくても処理できるようになる。そうなると英文は前から順に、意味のかたまりごとに入ってくるようになり、文末から戻って訳し直す「返り読み」が減っていく。
僕が実際にやっていた音読
流れを一言でまとめると——半歩上の教材を選び、意味と構造を頭に入れてから、段落ごとに区切って、音源と一緒に読む。慣れたらスクリプトを見ずに追いかける。これだけだ。全ステップに共通するコツは、情景をイメージして「いままさに自分が話しているつもり」で読むこと。回数を数えるだけの棒読みは、かけた時間のわりに残らない。
スラッシュの引き方・復習の間隔・つまずきやすい失敗まで含めた手順の完全版は、英語音読の正しいやり方——39→62の僕のスラッシュ音読7ステップにまとめた。この記事では、体験の側を続ける。
一番の失敗——62に上がったあと、やめて約1年停滞した
2カ月後の進研模試で偏差値は62になった。ここで僕は「英語が得意になった」と勘違いして、高3の1年間、音読をほとんどやめてしまった。
結果、約1年、英語力はほぼ伸びなかった。共通テスト形式ではリーディング・リスニング合計で8〜8.5割は取れていたが、そこから先に積み上がらなかった。浪人して河合塾の長文テキストの音読を再開したら、夏の全統記述模試で70.5になり、共通テスト形式も8.5〜9割で安定した。
この停滞と復活で、僕の中では決着がついた。伸びたのは音読をやっていた期間だけで、離れていた期間はきれいに止まっている。偶然と呼ぶには、タイミングが揃いすぎていた。
よくある質問
何回読めばいいか。回数より「スラスラ言えるようになったか」で判断する。僕自身、回数は覚えていない。
解いた長文は全部音読すべきか。しなくていい。スラスラ読めたものは卒業、引っかかった箇所だけ拾い直し、歯が立たなかった長文こそ本命として腰を据える。数をこなすより、選んだ1本を仕上げるほうが効く。
復習はどうするか。その日のうちにスラスラまで持っていき、翌日に短く確認、忘れかけたころにもう一度だけ。間隔を置いた復習のほうが定着し、2回目以降は確認程度で回るので新しい長文の邪魔にならない。
音読はリスニングにも効く——ただし、音の知識が先
僕の実感では、シャドーイング(音源を見ないで追いかける練習)まで進むと、聞き取る力にも効いてくる。ただしリスニングには、音読とは別に「英語は書いてある通りに発音されない」という音の知識が必要だ。この話は共通テストのリスニングが難しいのは、単語じゃなく「音」のせいだったで詳しく書いた。
なお、音読の下ごしらえ——意味のかたまりで区切る、音声を用意する、単語を調べる——は、Script Flowなら英文を貼るだけでAIが約60秒で済ませてくれる。共通テスト用のプリセット教材も入っていて、登録不要で毎月3回まで無料で教材を作れる。まずは手持ちの長文1つから、確かめてみてほしい。